この企画の発端は、去ること2012年の8月、ポップンマッシュルームチキン野郎課外活動であるモウムリポの第二回公演「熱海殺人事件」公演前のことだった。
誰か(たぶん主宰の吹原氏だと思う。そういう後先考えない無茶を言うのは彼しかいない)が、言いだしたのだ。 「この公演の収益を、ホームページ上で発表しよう」と。
僕は反対した。どうせそのホームページを作るのは僕だからだ。
しかし、公演前でとてつもなく忙しく、なんだかんだで面白そうな雰囲気に弱い僕は、しぶしぶ言われるがままに、当日パンフレットに書いてしまったのである。
「この公演の収益、赤裸々にさらけ出します」
それが、その後、公演を見た何人ものお客様から催促され、予想以上に長く劇団内で温められ続けることになる。 「風通しの良い演劇企画」の始まりである。
「最初は、『黒字になったら近場に旅行、赤字になったらサイショさんが土木工事のバイト』くらいにしか考えてなかったんです」と語るのはNPO法人。
実際、僕らの誰もが黒字になるとは思っていなかったし、もし黒字でも出演者4人にうまい棒の一つくらい買ってやるのが関の山だと高をくくっていた。
が、意外にも公演は超満員(キャパMAX50人のゴールデン街劇場だから快挙でもなんでもないのだが)。 結局、公演にて出た収益は、10万1千円という微妙な数字となった。
うまい棒を買うには多すぎ、劇団員全員で旅行に行くには少なすぎる。 この微妙すぎる金額は、その後じわじわと半年かけて僕らの頭を悩ませ続けた。
カナヅチの加藤慎吾がダイビングライセンス取得に挑戦する感動の記録を作ろうという案や、 誰よりも私生活に謎のない岡本さんの素行調査を興信所に依頼してその報告書をアップするという案も出た。 が、どれも決定力に欠けていた。 もう、劇団オリジナルホモビデオを制作して新宿二丁目にバラまくしかないという結論に達しかけたとき、 誰かが奇跡のアイデアを口にしたのである。
「誰も得しないプレゼント交換会ってどうですか?」
かくして、ポップンマッシュルームチキン野郎史上初のプレゼント交換会は、あの公演の観客の誰もが忘れかけた頃に、ひっそりと幕を開けたのである。
(文・編集:サイショモンドダスト★)