STORY

たった二時間で語られる、
機械人間ジャックの数千年の物語。

私はジャック。本名は忘れた。
かすかに残る記憶によれば、かつて私は人間だったらしい。
いつ生まれたのか、そしてどんな理由で改造されたのか…
最早すべてが曖昧だが。

昨日、友達の吸血鬼が銀の杭で心臓を突かれて死んだ。
何て羨ましいことだ。
私の体も、銀の杭が刺さるくらい柔らかければ良かったのに…。
そうだ。私は死にたくてたまらないのだ。

悠久の時の中で、私は様々な人間の愛を知り、
哀しみをとらえ、絶望を眺めてきた。
あと何年生きるのだろう。
不意に浮かぶ、あの子の泣き顔は何を伝えたいのだろう。

…私はジャック。
永遠の意味を知る、ただひとりの人間である。